① 固定電話を使った偽電話詐欺とは?
「偽電話詐欺」または「特殊詐欺」と呼ばれるこの犯罪は、電話を通じて被害者に接触し、うそをついて現金や個人情報をだまし取る犯罪です。警察庁の調査によると、特殊詐欺の連絡手段として電話が使われる割合は77.5%にのぼり、そのうち固定電話が90.5%を占めています。
なぜ固定電話が狙われるのでしょうか?それは、固定電話のある家庭に住む高齢者が主なターゲットだからです。特殊詐欺の被害者の86.6%は65歳以上の高齢者であり、特に高齢の女性が多く被害にあっています(被害者の約64.9%が女性)。
詐欺グループは毎日大量の電話をかけ、何度も失敗しながら手口を磨いています。一方、被害者のほとんどは「本物の詐欺電話に初めて対峙する」状態です。知識がないと、どんな賢い人でもだまされる可能性があります。
固定電話詐欺の被害実態(2024年・最新データ)
2024年は約721.5億円(前年比+269億円)。過去最悪を更新しました。
警察官をかたるオレオレ詐欺(その他名目)の被害額は約371億円(前年比+614.8%)と急増。2024年はこの手口が特殊詐欺被害の約51%を占めました。
2024年は末尾が「0110」の国際電話番号(警察署を装った番号)からの着信が200倍超に増加。着信画面では本物の警察署と区別がつかないケースも。
かつては高齢者中心でしたが、2024年は65歳未満のオレオレ詐欺被害者の割合が2023年の5.7%から30.7%に急増。若い人も狙われています。
② 主な手口の種類
固定電話を使った偽電話詐欺にはいくつかのパターンがあります。まずは全体像を把握しましょう。
息子・孫・弁護士・警察官などをかたり、「事故を起こした」「口座が犯罪に使われた」などと言って現金を要求する。近年は警察官・検察官をかたるケースが急増。
「未払いの通信料・有料サービス料がある」などと電話・SMSで告げ、電子マネーや振り込みで支払わせる。「裁判になる」「差し押さえる」などと脅すことが多い。
市役所・年金事務所などをかたり「医療費の払い戻しがある」と言ってATMに誘導し、操作させて振り込ませる。
銀行員・警察官などをかたり「口座が悪用されている」と不安をあおり、キャッシュカードや通帳をだまし取る。
「未払いがあります。番号を押してください」という自動音声が流れ、押すと詐欺グループにつながる。近年急増している手口。
インターネット閲覧中に「ウイルス感染」の偽画面が出て、電話番号が表示される。電話すると「修理代が必要」と言われ、電子マネーや遠隔操作で被害にあう。
③ 各手口の詳細と実際の会話例
手口①|警察官・検察官をかたるオレオレ詐欺
近年もっとも被害が増えている手口です。警察官・検察官を名乗り「あなたの口座が犯罪に使われている」「捜査のために現金が必要」などと言って、現金や暗号資産を送らせます。
- 本物の警察官がSNSやビデオ通話で連絡することはありません
- 警察官が現金やキャッシュカードを「預かる」ことはありません
- 「家族に話さないで」と言われたら、必ず詐欺を疑ってください
- 「逮捕される」「口座が凍結される」などの脅し文句は詐欺の典型手口です
手口②|架空料金請求詐欺
「有料サイトの未払いがあります」「このまま放置すると法的手続きを取ります」などと告げ、焦らせて支払わせる手口です。コンビニで電子マネーを購入させるケースが特に多いです。
- 正規の事業者が電子マネーで支払いを求めることはありません
- 「iTunesカード」「Amazonギフト」で料金を支払う制度は存在しません
- 心当たりのない請求は無視するか、消費者センターに相談しましょう
手口③|還付金詐欺(ATM誘導型)
市役所・社会保険事務所などを名乗り「医療費の還付金があります」などと言ってATMに誘導し、ATMを操作させてお金を振り込ませます。「ATMで返金処理ができる」というのは完全なうそです。
ATMでお金が戻ってくることはありません。ATMはお金を「送る」機械です。「ATMで還付金の手続きができる」と言われたら、その瞬間に電話を切ってください。
手口④|スプーフィング(番号偽装)詐欺
近年急増している高度な手口で、着信画面に実在する警察署や銀行の電話番号を偽装して表示させます。2025年3月には「警視庁新宿署」の番号からの偽着信が1日200件以上確認されました。
発信者番号を偽装する「スプーフィング」技術により、画面に表示される番号が本物の警察署と完全に一致していても詐欺の電話である可能性があります。番号だけで判断せず、必ず電話を切ってかけ直しましょう。
④「これは詐欺かも」と気づくためのサイン
詐欺師は「驚かせる・急がせる・不安にさせる」の3つで判断力を奪います。次のどれか一つでも当てはまれば、まず詐欺を疑ってください。
- 「今すぐ」「本日中に」など、急かしてくる
- 「家族には話さないで」「秘密にして」と言われる
- 警察・役所・銀行を名乗ってお金の話をしてくる
- キャッシュカードや現金を「預かる」と言ってくる
- ATMに行くよう誘導される
- コンビニで電子マネーを買うよう言われる
- 「逮捕される」「口座が凍結される」と脅される
- 非通知・知らない番号・国際電話(+から始まる番号)からの電話
- 「息子・孫が事故を起こした」と言ってくる(声が変でも「風邪をひいた」と説明する)
- LINEやビデオ通話に誘導される
⑤ 電話がきたときの正しい対処法
基本の行動:「切る・確認する・相談する」
- まず電話を切る。「少し考えます」ではなく、いったん電話を完全に切りましょう。
- 家族や信頼できる人に相談する。一人で判断しないことが大切です。
- かけ直すなら、自分で番号を調べてかける。警察署や銀行の番号は、公式サイトやハローページで確認してからかけ直しましょう。電話番号を折り返すのはNGです。
- 「#9110」(警察相談専用電話)に連絡する。「詐欺かもしれない」と少しでも思ったら、すぐ電話してください。
🔑 絶対に覚えておきたい鉄則
- 電話でお金の話が出たら、まず詐欺を疑う
- キャッシュカードは誰にも渡さない。銀行員も警察官も自宅に取りに来ない
- ATMでお金は「戻ってこない」。誘導されたら即、電話を切る
- 電子マネー(iTunesカード・Amazonギフト等)で料金は払わない
- 「秘密にして」と言われたら100%詐欺
家族が被害に遭いかけていると気づいたとき
銀行やコンビニで高額の引き出し・購入をしようとしている高齢の方を見かけたら、声をかけてあげてください。金融機関のATMでも「詐欺防止のための声かけ運動」が広がっています。
⑥ 事前にできる予防策
電話機の設定・機器の活用
電話機の「非通知拒否」「番号非表示拒否」機能を活用しましょう。ナンバーディスプレイサービス(有料)も有効です。
常に留守番電話で受け、用件を確認してから折り返す習慣をつけましょう。詐欺師のほとんどはメッセージを残しません。
NTT東日本・西日本の「迷惑電話おことわりサービス」や、各通信会社の迷惑電話対策サービスを利用しましょう。
国際電話をほとんど使わない方は、「国際電話不取扱受付センター(0120-210-364)」に申し込むと、無料で国際電話の着信を止められます。
家族でできる対策
- 家族間で「お金の話は必ず家族に相談してからにする」と決めておく
- 「合言葉」を決めておき、電話での本人確認に使う
- 高齢の両親・祖父母と定期的に連絡を取り、詐欺の手口を教える
- 「最近こんな電話があったよ」とオープンに話せる関係をつくる
- 金融機関に「高額引き出しの際に連絡をもらう」よう相談しておく
⑦ 相談先・通報先一覧
「詐欺かもしれない」と思ったとき、または被害にあった場合は、迷わず以下に連絡してください。
「詐欺かも」という相談でもOK
最寄りの消費生活センターへ
緊急の場合は110番
無料で止められます
- すぐに振込先の銀行に連絡し、振込停止を依頼する(振込直後なら間に合う場合があります)
- 警察に被害届を出す(110番または最寄りの警察署へ)
- 金融機関・クレジットカード会社にも連絡する
- 一人で抱え込まず、家族や消費者センターに相談する
📌 まとめ:固定電話詐欺から身を守る5つのポイント
- 電話でお金・キャッシュカードの話が出たら、まず詐欺を疑う
- 「急いで」「秘密にして」は詐欺の合図。絶対に応じない
- ATMや電子マネーで「還付金が戻る」「料金を払う」はすべて詐欺
- 不審な電話はいったん切り、自分で番号を調べてかけ直す
- 「#9110」や「188」に相談することをためらわない